ここでは、多機能テキストエディタ Emacs の使い方などを説明します。
EmacsまたはMule、そしてWindowsですとMeadowというものが有名ですが、これらはほぼ同じものと考えてもらえればよいです。多機能エディタというだけあって、様々なことをすることが出来ます。エディタですのでもちろんテキスト編集は可能です。その他、電子メール、NetNews、WWWページ閲覧など様々なことが可能です。
そして一番大きな特徴としては、マウスをほとんど使うことなく、全ての操作が可能であるということ。一般のWindowsユーザーからすれば、マウスが無くてどうするの?という疑問が生じるかも知れませんが、プログラムや文章をたくさん書く人間にとって、マウスまで手を伸ばすことは大きな時間のロスになります。もう少し言うと、キーボードのホームポジションから手をはずす事に面倒くささを感じてしまいます。Emacsはマウスを使うことなく、というよりは、キーボードのホームポジションから手を移動することなく全てを操作できてしまうのです。
Emacsを操作する際にコントロールキーとメタキーが重要になってきます。Windowsでもコントロールを押しながらsを押すと保存が出来るというのが一般的でしょう。Emacsもこの概念を使って操作をすることになります。
C- とよく記述をされるのですが、これは「コントロールキーを押しながら、同時に他のキーを押す」という意味です。M- というのは、「メタキーを押しながら同時に他のキーを押す」という意味になります。一般的にメタキーは、Esc (エスケープキー) もしくは Altキーに割り当てられています。例えば、C-xという記述があったときには、コントロールキーを押しながら、同時にxを押すことになります。
まず、Emacsの起動と終了方法を覚えないとどうしようも有りません。しかし、基本的にWindowsの一般のアプリケーションと同じようにも使うことが出来るので、ダブルクリックやコマンドラインでコマンドを入力して起動することができ、ファイルメニューでファイルを開くことができ、×ボタンを押すことで終了することが出来ます。ただ、それではメモ帳と代わりが無いので、どうせ使うならキーボードからそれらの操作が出来るようになるべきです。以下がそのコマンドになります。
コマンド 操作内容 C-x C-c Emacsの終了 C-x C-f ファイルを開く C-x C-s ファイルのセーブ
Windowsでは、カーソルの移動の手段にカーソルキーもしくはマウスを使います。Emacsでは、カーソルキーもマウスも使うことなくカーソルの移動が出来ます。<の入力があるので、Shiftキーも同時に押すことになります。これはなれないと結構大変です。
コマンド 操作内容 C-f 右移動 C-b 左移動 C-p 上移動
C-n 下移動 C-a 行の先頭へ移動 C-e 行の最後へ移動 M-< ファイル先頭へ移動 M-> ファイルの最後へ移動 C-v 次のページへ移動 M-v 前のページへ移動 M-x goto-line 指定した任意の行へ移動
検索したいときには以下のようにします。C-sを押した後に検索したい文字を入力するとカーソルが移動します。文字を入力した後に、続けてC-sとすると、次の候補にカーソルが移動します。
コマンド 操作内容 C-s 下方向に検索 C-r 上方向に検索
コマンド 操作内容 DEL カーソルの直前の文字を削除 C-d カーソルが乗っている文字を削除 C-k その行のカーソル以降全てを削除し、カットバッファに登録 M-d その語のカーソル以降を削除しカットバッファに登録 M-DEL その語のカーソル以前を削除しカットバッファに登録
コマンド 操作内容 M-x replace-string この後に、置換されるべき文字列、置換後の文字列をそれぞれ入力 M-x % この後に、置換されるべき文字列、置換後の文字列をそれぞれ入力
Windowsでは、コピー、カットする部分を選択してからそれぞれの動作を行います。Emacsも同じ概念で動作します。Emacsでは、始点(mark)を設定し、移動することで選択されます。選択された部分をregionといいます。その状態でこぴー、カットをするとカットバッファに文字列がバッファリングされます。また、貼り付けのコマンドを入力すると、カットバッファに保存された文字列がペーストされます。
コマンド 操作内容 C-SPC カーソル位置に始点(mark)をセット C-w regionを削除し、カットバッファに登録 M-w regionを削除しないでカットバッファに登録 C-y カットバッファの内容をカーソル位置に挿入 M-y 一つ前のカットバッファの内容をカーソル位置に挿入
Emacsは画面をいくつかに分割して作業をしたりします。
コマンド 操作内容 C-x 2 画面を横に2分割 C-x 3 画面を縦に2分割 C-x 1 分割された画面を1つに戻す C-x o 画面が分割されているときに他の画面にカーソルを移動
コマンド 操作内容 C-g コマンドのキャンセル C-/ Undo
コマンド 操作内容 C-x i ファイルの差し込み C-x d ディレクトリエディタ Dired の起動 M-x shell シェルを起動 C-h T オンラインヘルプ M-x info オンラインヘルプ
コマンド 操作内容 C-\
日本語入力の開始。もう一度押すと終了。 C-o 文節を伸ばす C-i 文節を縮める C-f 文節を1つ前に移動 !..~ ローマ字を仮名に変換 SPC 仮名漢字変換開始 C-@ 仮名漢字変換開始 C-a フェンス内の先頭の文字へ移動 C-b フェンス内で一文字分前へ C-c 入力を中止し、へんすモードから抜ける C-d 一文字削除 C-e フェンス内の最後の文字へ移動 C-f フェンス内で一文字分後ろへ C-g 入力を中止し、フェンスモードから抜ける C-i 文節を縮める C-k フェンス中のカーソルから後ろを削除 C-l フェンス内の入力を確定し、フェンスモードから抜ける C-o 文節を長くする RET フェンス内の入力を確定し、フェンスモードから抜ける C-T フェンス内の文字の反転 C-W 仮名漢字変換開始 C-_ JISコード入力 M-h フェンス内の文字をひらがなにする M-k フェンス内の文字をカタカナにする M-> フェンス内の文字を全角文字にする M-< フェンス内の文字を半角文字にする M-s 候補の一覧を表示する M-x toroku-region 登録したい単語をリージョンで指定後、実行。読み、辞書、品詞を指定。